日本近代史と戦争を研究する
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靖国問題 論点2 憲法・政教分離
はじめに、政教分離を規定した憲法第20条をみてみましょう。

■第20条
 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教活動もしてはならない。
中曽根首相は、戦没者追悼を目的として、
「本殿または社頭にて一礼する方式」で参拝することは、憲法に違反しないと結論した「靖国懇報告書」をもって、「公式参拝」を実行しました。

「靖国懇報告書」が論拠としたのは、
津市地鎮祭訴訟において、1977年最高裁が示した
「目的・効果基準」と呼ばれるものでした。

それは、「憲法の禁止する国の宗教的活動とは、行為の目的が宗教的意義を持ち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進または圧迫、干渉等になるような行為」であるとし、社会的儀礼はそれには当らないとするものです。


この首相の「公式参拝」に対しては、訴訟が起こされています。
そして以下のように、判決で違憲の判断が示されました。

■1991年1月10日 仙台高裁
■1992年2月28日 福岡高裁
■1992年7月30日 大阪高裁


朝まで生テレビに出演した、
水島朝穂氏、百地章氏の二人の憲法学者の、
これらの判決についての解釈は、真っ向から対立しています。

水島氏は、討論において、
「中曽根参拝をめぐる判例からみても、公式参拝は違憲の疑いがある」と主張しました。

水島氏はとくに仙台高裁判決を重視して、
「『目的・効果基準』の『呪縛』から離脱して、政教分離の原点に立ち返った判断が見られた」と評価しています。

そして、「公式参拝」は、
「『目的・効果基準』を適用して判断する『程度の問題』(量的問題)ではなく、憲法が禁ずる行為そのものに関わる質的問題なのである」と結論しています(同「首相の靖国神社参拝問題」『法律時報』73-11、2001.10)。


一方、百地氏は、その違憲判断は「傍論」にとどまっており、判例として意味をもたないとします。
朝生では、大原氏が主にこの主張を展開しました。

百地氏は、大阪高裁の判決に関して、
「被告勝訴の主文と公式参拝を違憲とする傍論の間で、いわゆる『ねじれ現象』が生じており、論理的に首尾一貫したものとはいいがたい」として、「傍論」の必要性に疑問を呈しています。

そして「目的効果基準」を適用していないことを問題視し、「靖国神社公式参拝も、同神社の側からすれば祭神に対する宗教的行為であろうとも、首相や一般人、さらに外国大使、武官らにとってみればあくまで儀礼ないし表敬行為と評価するのが自然であろう」としています(同「靖国神社公式参拝と憲法判断」『法律のひろば』45-11、1992.11)。

「靖国懇報告書」に沿った論理を展開しているのがわかります。


2001年の小泉首相の参拝に対しては、
六つの地方裁判所に違憲訴訟が起こされています(詳しくは、こちら)。

現時点で、以下の判決が出ています。

■2004年2月27日 大阪地裁(一次)
■2004年3月16日 松山地裁
■2004年4月7日 福岡地裁
■2004年5月13日 大阪地裁(二次)


賠償請求に関しては、すべてで棄却されています。
参拝が「公的」か「私的」かの問題については、
大阪(一次)と福岡が「公的」、
大阪(二次)が、「私的」と認定しています。

大阪(一次)と福岡が公的参拝と認定しましたが、
福岡ではそこからさらに踏み込み、違憲の判断を下しています。


【追記・2004年11月25日】

2004年11月25日、千葉地裁の判決が出ました。
ほかの地裁と同じく、損害賠償は棄却されました。
また公式参拝と認定しましたが、憲法違反かどうかの
判定にまでは踏み込みませんでした。

【追記・2005年1月28日】

2005年1月28日、那覇地裁の判決は、
請求棄却、憲法判断および参拝の性格にふれず
というものでした。
憲法判断・参拝の性格のいずれにも触れなかったのは、
松山地裁に次いで二例目。


さらに理解を深めたい方
◆靖国問題 入門書を読んでみる
◆大原氏・水島氏の著作を読んでみる




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