日本近代史と戦争を研究する
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植民地としての朝鮮
「併合」という語句を最初に用いた、
外務官僚・倉知鐡吉は、次のように述べています。

〇朝鮮総督府外事局長・小松緑宛前外務次官・倉知鐡吉覚書 1913.3.10
「当時我官民間に韓国併合の論少からざりしも、併合の思想未だ十分明確ならず、或は日韓両国対等にて合一するが如き思想あり、又或は墺匈国の如き種類の国家を作るの意味に解する者あり、従て文字も亦合邦或は合併等の字を用ひたりしが、自分は韓国が全然廃滅に帰して帝国領土の一部となるの意を明かにすると同時に、其語調の余りに過激ならざる文字を選ばんと欲し、種々苦慮したるも遂に適当の文字を発見すること能はず、因て当時未だ一般に用ひられ居らざる文字を選ぶ方得策と認め、併合なる文字を前記文書(引用者注―小村外相意見書)に用ひたり。之より以後公文書には常に併合なる文字を用ふることゝなれり」
(春畝公追頌会編『伊藤博文伝』下巻、1940年、1013-1014頁)


「併合」とは、従来の「保護国化」政策から転換し、
「韓国が全然廃滅に帰して帝国領土の一部となるの意」であって、
その際、「語調の余りに過激ならざる文字」として選ばれたものでした。

なお「帝国領土の一部となる」といっても、
内地の一地域になったわけではありません。


国際法学者・有賀長雄は、
「合邦の形式」に関して、次のように分類しています。


○有賀長雄「合邦の形式如何」『政友』120号、1910年7月
「合邦の方法には対等と不平等の二あり。対等にて合法〔合邦カ〕すとは国際法に所謂実体合一なるが、此の如きは日韓の場合に於ては問題外なり。不平等の地位にありてする合邦は仏語のアネション(合併)にして、之れに三種あり。(一)属邦としての合邦、(二)殖民地としての合併、(三)地方としての合併、之れなり。皆各々法理に於て異なれり」
(海野福寿編『外交史料 韓国併合』下、不二出版、2003年、621頁による)

以下、有賀はその三者に関して説明を加えていきますが、
それをまとめると次のようになります。

http://kurokayo.fc2web.com/ariga.htm


一進会が構想していたのは、
有賀がいうところの、「宗属関係」であったようです。


〇「日韓合邦問題ニ関スル件」警視総監より統監宛 190912.2
「近来、喧伝セラルヽ日韓合邦問題ノ径路ニ関シ更ニ探聞スル処ニ依レハ、過般来ヨリ宋秉ト一進会長李容九トノ間ニ於テ屡々交渉ヲ重ネツヽアリシハ事実ニシテ、其成立セル連邦案ノ細目ハ左ノ如キモノナリト伝フ。
 一、大韓国ヲ韓国ト称スルコト。
 二、皇帝ヲ王ト称スルコト。
 三、王室ハ現今ノ儘韓国ニ存在ス。
 四、国民権ハ日本国民ト同等タルヘキコト。
 五、政府ハ現今ノ如ク存在スルコト。
 六、日本官吏ハ悉ク傭聘トシ、現今ヨリ其数ヲ減少スルコト。
 七、人民ノ教育、軍隊教育ヲ振起スルコト。
 八、本問題ハ韓政府ヨリ直接日本政府ニ交渉スルコト。」
(海野-前掲書、645頁)


しかし実際に併合された朝鮮は、
「直轄植民地」に当ります。


〇閣議決定 1910.6.3
「一、朝鮮ニハ当分ノ内、憲法ヲ施行セス、大権ニ依リ之ヲ統治スルコト。
一、総督ハ天皇ニ直隷シ、朝鮮ニ於ケル一切ノ政務ヲ統轄スルノ権限ヲ有スルコト。
一、総督ニハ大権ノ委任ニ依リ、法律事項ニ関スル命令ヲ発スルノ権限ヲ与フルコト。但、本命ハ別ニ法令又ハ律令等適当ノ名称ヲ付スルコト」
(海野-前掲書、696-697頁)


朝鮮には憲法が施行されず、
天皇に直隷する総督が置かれ、「制令」の制定ほか
一切の政務を統轄する権限をもって統治にあたります。


朝鮮を「植民地」と明言している史料も少なくありません。


〇閣議請議案「殖民地官庁雇員ノ俸給最高額増加ノ件」1919.11.3
「今般内地官庁在勤雇員ニシテ特別ノ技術ヲ要セサルモノニ対シテハ一箇月月五拾円ヲ超エサル範囲内ニ於テ俸給ヲ支給シ得ルコトニ閣議決定相成タル処朝鮮総督府、台湾総督府、関東庁及樺太庁竝其ノ所属在勤ノ本邦人タル雇員ノ俸給ニ付テハ…」
→アジア歴史資料センター:A01200163700
(公文類聚・第四十三編・大正八年・第十二巻・官職十・官制十・官等俸給及給与二(外務省~旅費))


〇拓殖事務局『殖民地便覧』1923
「本書ハ我ガ殖民地ト称セラルル朝鮮・台湾・樺太・関東州及ビ南洋群島ニ関スル大正十年中ノ概略ノ計数竝ビ既住数年間ノ比較ヲ掲ゲ以テ大勢ノ推移ヲ知ルニ便ナラシメタリ」
→アジア歴史資料センター:B03041709500
(帝国施政関係雑纂)


〇拓殖事務局長「拓殖省設置ニ関スル意見書」1924
「我国殖民地統治ニ関スル中央機関トシテハ内閣総理大臣管理ノ下ニ拓殖事務局ヲ置キ朝鮮総督府、台湾総督府、関東庁、樺太庁及南洋庁ニ関スル事務ヲ掌ルノ外満鐵、東拓等特殊会社ヲ監督セシム」

「惟フニ我国ニ於ケル殖民地ハ日清日露ノ両役、韓国ノ併合竝世界大戦ヲ経テ増大シ…」
→アジア歴史資料センター:A03023581500
(公文別録・内閣・大正十二年~昭和十九年・第一巻・大正十二年~昭和八年)


〇朝鮮軍「朝鮮ニ於ケル青年訓練ニ関スル件」1929
「大正十五年内地ノ青年訓練ノ施設創設セラルルト共ニ殖民地ニ於テモ出来得ル限リ青年訓練ヲ実施スヘキ旨ヲ閣議ニ於テ決定セラレシモ朝鮮人ノ取扱方等ノ特種ノ事情ニヨリ荏苒日ヲ閲シ昭和三年ニ至リ教育当局ノ交迭ト共ニ朝鮮ニ於ケル教育制度ノ根本改革ヲ為サントシ当時僅ニ三割ノ就学率ニ過キサル小学教育ヲ拡張シテ一面一校主義ヲ採リ別ニ国民学校ヲ設ケテ青年訓練ヲ為スノ案ヲ立テシモ…」
→アジア歴史資料センター:C01001106400
(大日記甲輯昭和04年)
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